- 経営
良いプロダクトの次に、問われるもの-グレイナーの成長モデルで考える「1億の壁」と組織
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売上が伸び悩んだ時の打ち手を整理するフレームワーク「アンゾフのマトリクス」を、よくある2つの悩みから考えてみましょう。
「今の事業だけでは売上が頭打ちだ。何か新しいビジネスを始めなければ……」
「競合との価格競争が激しいから、全く別の市場を開拓しよう」
売上が伸び悩むと、多くの経営者が「新規事業」や「多角化」という選択肢に目を向けがちです。しかし、十分なノウハウがない領域への突撃には、会社に致命的な打撃を与えるリスクがあります。
実は、中小企業が売上を上げたい時に最も低コストかつ低リスクで、しかも確実に見落としている宝の山は、今みなさんが戦っている「既存の市場」にあります。
この記事では、経営コンサルタントの椢原浩一先生と、アステッキホールディングス株式会社代表取締役社長 岩谷の対談をベースに、有名なフレームワークである「アンゾフのマトリクス(商品・市場マトリクス)」の正しい使い方と、中小企業が取るべき生存戦略を分かりやすく解説します。
目次
戦略を練る上で欠かせないアンゾフのマトリクスは、「市場(顧客)」と「商品(サービス)」をそれぞれ「既存」と「新規」に分け、4つのゾーンで企業の成長戦略を分析するツールです。
| 現在の商品・サービス(既存) | 新しい商品・サービス(新規) | |
| 既存の市場・顧客 | ① 市場浸透戦略 (現在の主戦場) |
② 新商品開発戦略 (アップセルなど) |
| 新しい市場・顧客 | ③ 新市場開拓戦略 (エリア拡大など) |
④ 多角化戦略 (新規×新規のハイリスク) |
経営者が売上を伸ばしたい時、まずこの4つのどこにリソース(人・物・金・時間)を投下するかを決める必要があります。
市場浸透戦略は「今の売上そのもの」だからこれ以上は伸びないと判断し、新商品開発や新市場開拓をしなければならないというのは間違いです。
椢原先生は次のように警鐘を鳴らします。
椢原先生の指摘:
「『浸透』とは、染み渡る、染み通るという意味です。本当にあなたの会社の商品やサービスは、既存の市場に染み渡っていますか?中小企業で市場浸透を100%やり尽くしている会社はないと思います。他のゾーンへ行くには莫大なコストと時間がかかります。今の人員で売上を最大化したいなら、まずは左上(市場浸透戦略)を細かく分解することです」
「左上のゾーンはもう限界」と大雑把に捉えるのはやめましょう。縦軸に既存の顧客や地域、年齢層をずらっと並べ、横軸に既存の商品を並べて「細かいマス目」を作ってみるのです。
すると、「この地域にはこの商品がまだ入っていない」「この顧客層への認知度が低い」という空白のマス目が見つかります。

そこに対して、以下の3つのアプローチを徹底することこそが、王道の「市場浸透戦略」です。
右や下へ行く前に、まずはこの空白のマス目を潰していく作業が重要です。
では、市場浸透をやり尽くした、あるいは競合が強すぎて既存市場がジリ貧になった場合はどうすべきでしょうか。
次に目指すべきは、右(新商品開発)または下(新市場開拓)です。ビジネスモデルにあった戦略を選択しましょう。
通常は右(新商品開発)の方が良いとされています。なぜなら、すでに信頼関係がある既存顧客に対して関連商品を提案する(アップセル)方が、圧倒的に効率が良いからです。
一番やってはいけないのは、右下の「多角化(新規市場×新規商品)」にいきなり飛びつくことです。岩谷も過去に苦い経験を語っています。
岩谷のリアルな失敗談:
「独立当初、ずっといた医療業界とは全く関係のないビジネスに誘われて手を出したんです。経営の『け』の字も知らない状態で、ノウハウも知識もない新規×新規の領域に行ったので、見事に大失敗しました」
「多角化」は難しく、失敗の確率が跳ね上がります。せめて「どちらか一方は自社の既存の強み(ノウハウや顧客)」と掛け算できる領域であるべきなのです。
売上を伸ばすための戦略とは、ひらめきや直感だけで新しいことに飛びつくことではありません。
この堅実なステップを踏むことこそが、無駄なお金と時間をこぼさずにビジネスを確実に成長させる最短ルートです。
「最近、売上が伸び悩んでいる」という経営者の方は、ぜひ一度自社の顧客リストと商品ラインナップを机に広げ、細かなマス目を作ることから始めてみてはいかがでしょうか。
今回の記事のベースとなった、アンゾフのマトリクスや多角化リスクの本質などの深い議論は、以下のYouTube動画からご覧いただけます。
売上があるのに利益が残らない場合は、こちらの記事も参考にしてください。
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