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100点は今すぐやめろ!組織を劇的に変える「60点の極意」
「あの社員が辞めてしまったら、明日からの業務が回らない……」 「部下に仕事を任せたら、思っていた成果物と全く違うものが出てきた」 経営者が組織を拡大していくプロセスで、必ず直面するのが「業務の属人化」と「部下への権限委譲 […]
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転職サイトを運営しているエン株式会社が毎年行っている「理想の上司」実態調査を先日、目にする機会がありました。2026年は、男性部門のトップ3は「内村光良」さん、「所ジョージ」さん、「明石家さんま」さんで、女性部門のトップ3は「天海祐希」さん、「水卜麻美」さん、「いとうあさこ」さんという結果でした。
確かに、素敵な方ばかりですよね。でも、芸能界には素敵な方がほかにも大勢おられます。では、「素敵」ということ以外に、ここに並ぶ方々にはどのような共通点があるのでしょうか。
内村さんには柔らかく人を受け止める印象があり、天海さんからは頼もしさや公平さを感じます。水卜さんやいとうさんには、自然体の親しみやすさがあります。それぞれ魅力の表れ方は異なりますが、立場や実力がありながら、上から相手を押さえつけるようには見えないことも、共通点の一つではないでしょうか。
「上から押さえつけない」ということは、言い換えれば自分の価値観や答えを相手に強制しないということにも通じます。だからこそ、私たちはこうした方々に、「顔色をうかがって”正解”を探さなくても話せそうだ」という印象を抱くのかもしれません。
しかし現実の職場でこれを実践するのは、決して容易ではありません。どれほど優しく接しようとも、職場には避けることのできないタテの関係が存在するからです。
上司の側に相手を押さえつけるつもりなど毛頭なく、むしろ関係を良くしようと試みたアプローチであったとしても、タテの関係がある限り、部下側は無意識のうちに上司が望む反応を探し、それを演じてしまうことがあります。
本稿では、私たちが日頃目にする部下とのやり取りやリアクションの裏側に、何があるのか、上司と部下のより良い関係の築き方について、考えてみたいと思います。
例えば、こんな状況を想像してみてください。上司が職場で冗談を言い、それを聞いた部下が笑っています。上司はその反応を見て、「場が和んだ」「部下との距離が縮まった」と感じるかもしれません。
でも、その笑顔は、本当に冗談を面白いと感じたから生まれたものなのでしょうか。それとも、「上司が言ったことだから、笑っておいた方がよい」と考えた結果なのでしょうか。
このような職場における上司のジョークと部下の反応について調べた興味深い研究(Hu et al., 2024)があります。これまでの研究では、上司のユーモアには、職場を明るくしたり、部下との距離を縮めたりする効果があると考えられてきました。
また、ユーモアが部下に悪影響を与える場合についても、「相手を傷つける冗談だったのではないか」「単純に面白くなかったのではないか」など、その質に注目することが一般的でした。
これに対してHu et al. (2024)が注目したのは、ユーモアの質ではなく「量」です。研究の結果、上司が頻繁に冗談を口にすると、部下は肯定的な反応を求められていると感じやすくなり、本心とは異なる笑顔や大げさな反応を見せる表層演技が増えることが示されました。
そして、この表層演技が部下の感情的な消耗を招き、仕事に対する満足度を低下させていました。確かに、上司がギャグを連発していたら、本当に面白いときもあるだろうけど、そうでない時も、面白いフリをしちゃいますよね。
そして、この傾向は、組織の上下関係を当然のものと捉え、立場が上の人には従うべきだと考える傾向の強い人ほど顕著でした。上司の冗談が面白いかどうかにかかわらず、上司が笑ってほしそうにしていれば、それに応じることも、部下として求められる振る舞いの一つだと感じてしまうのです。
もちろん、この研究は、上司は職場で冗談を言ってはいけないと主張するものではありません。ここで注目したいのは、上司が場を明るくしようとする好意的な働きかけであっても、立場の違いによって、部下には負担になる可能性もあるということです。
外から見れば、笑い声が絶えない明るい職場。しかし、その笑顔のすべてが、自然に生まれたものとは限りません。上司が見ている部下の反応と、その内側にある感情は、必ずしも同じではないのです。

こうしたことは、ユーモアに限りません。部下との面談でも、上司の善意が相手の反応を方向づけてしまうことがあります。
先日、オフィスドックカレッジの動画で、医師の新城拓也先生に対話の技術についてのお話を伺いました。その中で印象に残ったのが、相手の話を聞くときには、方向性を与えないということです。「こうしてみたら?」と提案するのではなく、まずは相手の話を、その人の語る方向に沿って聞いていきます。
しかし、部下と面談をする上司は、つい何か答えを示したくなるのではないでしょうか。自分の経験を伝えたり、解決策を提案したりすることこそ、上司の役割だと考えるからです。「私ならこうするかな」とか「こうしてみたら?」という言葉も、部下を助けたい、上司らしくしないと、という気持ちから出ていることが多いでしょう。
ただし、上司の「こうしてみたら?」は、上司が思うほど軽い提案としては受け取られないことがあります。立場が上の人から方向性を示されると、部下はそれを一つのアイデアではなく、上司が求めている答えや、従うべき指示として受け取るかもしれません。その瞬間から、部下は自分の考えを探すのではなく、示された方向に沿って話し始めます。
部下のためを思っての上司の発言。部下もそれを受け入れて納得したように見える。しかし、その反応の裏側で、部下自身の考えや感情が語られないままになっている可能性があります。
仕事では、上司が方向性を示し、必要な判断を下さなければならない場面があります。上司には部下を評価する役割もあり、責任の範囲や持っている権限も同じではありません。こうした役割上のタテを、職場からなくすことはできません。
しかし、役割上の上下があることと、すべてのコミュニケーションをタテの関係で行うことは、同じではありません。例えば、部下の考えや感情を知るための面談では、答えを示して導こうとする前に、まずは相手の話に耳を傾ける時間を持つことも大切です。自分の考えはいったん脇に置いて、一対一の人間として、相手の話すことに関心を向けることができます。つまり役割としてはタテの関係にありながら、対話ではヨコの関係を意識するということです。
これは、上司としての責任を手放すことでも、部下と友人のように接することでもありません。今は仕事の方向性を示す場面なのか、それとも相手の考えを聞く場面なのか、関わり方を意識してみるということです。
もちろん、上司がヨコの関係を意識したからといって、部下もその瞬間から対等だと感じて話せるわけではありません。どこまで行っても上司は上司、部下は部下。部下は、上司が自分を評価する立場にあることを知っています。

また、ヨコの関係を意識することは、部下がその場に応じた役割を担ったり、相手に配慮して言葉や振る舞いを選んだりすることまで否定するものではありません。私たちは誰でも、相手や状況に応じて自分の見せ方を変えながら、人との関係を築いています。大切なのは、そうした振る舞いをなくすことではなく、目の前に見えている反応が、その人の本音のすべてだと思い込まないことです。
だからこそ上司は、部下から期待どおりの答えが返ってきたときや、自分の提案にすぐ同意してくれたときほど、その言葉が立場への配慮から選ばれた可能性にも目を向ける必要があるのではないでしょうか。
記事の冒頭でご紹介した「理想の上司」に選ばれた方々も、立場や実力がない人たちではありません。むしろ、それらを十分に持ちながら、その力で相手を押さえつけるように見えない人たちです。
理想の上司とは、タテの力を持たない人ではなく、その力を使うべき場面と、それを前面に出さず相手の言葉に耳を傾ける場面を区別できる人なのかもしれません。

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・Hu, X., Parke, M. R., Peterson, R. S., & Simon, G. M. (2024). Faking it with the boss’s jokes? Leader humor quantity, follower surface acting, and power distance. Academy of Management Journal, https://doi.org/10.5465/amj.2022.0195
・エン株式会社「「理想の上司」実態調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー理想の上司ランキング第1位、男性「内村光良」女性「天海祐希」。「ちゃんみな」もランクイン。「人によって態度を変える上司」は最も敬遠される傾向に。」2026年5月25日公開、2026年8月4日閲覧。https://corp.en-japan.com/newsrelease/2026/45459.html
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