- マネジメント
「言いにくい…」が「伝わる!」に変わる。面談の質を劇的に変える“客観的データ”の活用法
経営者やマネージャーの皆様、こんなお悩みはありませんか? 「パフォーマンスが上がらない社員への指導、どう伝えたら角が立たないだろう…」 「給与や評価について説明しても、どこか納得していないように見える…」 先日、弊社で経 […]
前回の記事では、言いにくいフィードバックには「客観的なデータ(事実)」を活用することが重要だとお伝えしました。
しかし、いざ面談の席に座ったとき、いきなりデータを見せて本題に入るのはNGです。
なぜなら、社員の「パフォーマンスの低下」の裏には、単なるモチベーション不足だけでなく、体調不良、メンタルの不調、プライベートの悩み(介護や育児、家庭内のトラブルなど)が隠れていることが多々あるからです。
そんな時、臨床心理士はカウンセリングの冒頭でどのような声かけをしているのでしょうか?マネージャーが明日から使える、心理学の技法を取り入れた「冒頭の声かけ」のステップをご紹介します。
社員はなぜ呼び出されたのか、特に定期の面談でない場合はよくない場面を想定することが多い。そのため、最初になぜ時間が設けられたのか意図を伝えましょう。
その際に、いきなり、「評価」の話ではなく、「観察した事実」を伝えます。経営者は何か変化を感じ取れば、すぐに反応するのではなく、「事実確認」として観察する時間をとる冷静さが必要です。
さりげなく、持ち場を見て回ったり、メンバーからの評価を聞き取り、自分が見えているものの客観性を担保します。ここで注意したいことは、経営者であっても自分の見立ては正しいと思いたいバイアスが去るということです。
「〇〇さんは最近やる気がない」という自分のバイアスが常に働くことは念頭に置いておきましょう。
×「最近、なんだかやる気がないよね? どうしたの?」 (※社員の心:やる気がないわけじゃないのに…と心を閉ざす)
〇「最近、朝の挨拶の時に少し元気がないように見えたんだけど、体調はどう?」
〇「いつもより少し顔色が優れないように感じたから心配していたんだ。最近眠れている?」
ポイント: 「私はこう見えた(感じた)」「私は心配しています、気がかりです」というアイ・メッセージ(I-message)を使うことで、相手を責めることなく、純粋な「心配」として伝えることができます。
アイ・メッセージ(I-message)を伝えたうえで、何のための時間であるかを共有します。
急に呼び出された社員は「なにかよくないことを言われるのではないか」と緊張することもあります。ネガティブな要素であっても、今日は何をどうしたいのかを明らかにすることは重要です。
〇「もし会社としてサポートできること(業務量の調整や休みの取得など)があれば力になりたいと思っているから、面談の時間を取ったんだ。」
〇「もし仕事のことで相談に乗れることがあるなら一緒に考えたいなと思ったんだ」
ポイント: 「あなたを評価・指導するため」ではなく、「あなたをサポートするため」にこの場を設けたのだという面談の目的(味方であること)を最初に宣言します。
本人の抱えている問題が、仕事であったとしても、プライベートな問題であったとしても、本人にとってはどう伝えればいいか、伝えたいかどうか、考える時間が必要です。
すぐには言葉にならない場合もあります。1分程度は言葉が詰まっても待ちましょう。
ぜひ、家族や友人と1分間返事を待つという体験をしてみてください。
待つ側には1分って長く感じると思いますが、考えている本人にとっては頭フル回転で決して長い時間ではありません。「うーん、うーん」とつぶやきながら考えていたら、「いいよいいよ、まとまってからで」と言って待ちましょう。
こんなとき、手元にコーヒーや資料、ノートなどがあれば「待っている感じ」を抑えられます。面談には人と人との間に「モノ」があることが実は重要なのです。
相手の顔をじっと見て待たず、自分の視線を相手の手元やすぐ近くにあるものなどをぼんやりと眺めておきましょう。こちらの緊張感は相手にもつながります。
当たり前ですが、スマホを眺めるのはNGです。注意しましょう。
ただし、言葉が出てこないシーンがかなり多いのであれば、その面談時間が本人にとってタイミングや環境があっていない可能性もあります。
直ちにしなければいけない仕事がある、問題の当事者がすぐ近くにいる、面談室の様子が外から丸見えである、などあれば、心理的に言い出しにくいでしょう。
「このままお話を続けていいですか」
「日を改めて、ゆっくり考える時間を持ちましょうか」
と時間の余白を作ることも大切です。

「やる気がない」と見える行動の裏には、本人の「SOS」が隠れているかもしれません。 まずは冒頭の3分間。臨床心理士のように「相手を観察し、受容する」声かけから始めてみませんか?

看護師として約20年の臨床経験を積んだ後、専門職が活躍できる環境づくりを志してアステッキホールディングス株式会社に参画。2022年に取締役COOに就任し、2024年より代表取締役COOを務めている。
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