- 業務改善
時間管理マトリックスとは?緊急度×重要度を整理して優先順位を決めよう
やるべきことが増える一方で、ビジネスパーソンにとって使える時間は限られています。ToDoを増やすほど何から手を付けるべきかが曖昧になり、結果的に忙しいのに成果が出にくい状態に陥りがちです。 そこで役立つのが、タスクを緊急 […]
目次
先日、高市総理が、総理就任以来、睡眠時間が0〜3時間の日が常態化しているとSNSに投稿し、働き方や健康管理の観点からさまざまな意見が寄せられました。
高市総理は、自民党総裁選後のあいさつでも「ワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる」と述べ、「働いて働いて働いて働いて働いて、まいります」と宣言して注目を集めています。こうした発言に大きな反応が起こることからも、ワーク・ライフ・バランスが社会的な関心を集めるテーマであることが分かります。
しかし、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は、日常の中ではやや狭い意味で使われることが多い気がします。たとえば求人情報サイトを見ると、残業が少ないことや、休暇を取りやすいことなどが、ワーク・ライフ・バランスの良さとして強調されているようです。
それに、ワーク・ライフ・バランスが語られるとき、何となくですが、プライベートの方が大切、といったニュアンスを感じるのは私だけでしょうか?もちろん、長時間労働を減らすことや、休息の時間を確保することは重要です。
しかし、ワーク・ライフ・バランスは、単に、定時での帰宅や、有給取得のしやすさを意味する言葉なのでしょうか。
本稿では、あらためてワーク・ライフ・バランスについて考えていきたいと思います。

ワーク・ライフ・バランスについて考えるとき、まず確認しておきたいのは、この概念が近年の流行語ではないということです。
Forbesの記事によると、“work-life balance” という言葉は1970年代に使われ始め、1980年代に広く使われるようになったとされています。当初は、働く母親がキャリアと家庭での責任をどう両立するかという文脈と結びついていました。
しかし、その土台にある問題意識は、さらに以前から存在していました。農業や家業を中心とした社会では、働く場所と暮らす場所は、今ほど明確に分かれていませんでした。しかし、産業化が進み、工場やオフィスに通って賃金を得る働き方が広がるにつれて、「仕事の時間」と「生活の時間」は切り分けられていきます。
産業革命期以降、長時間労働や過酷な労働環境が大きな社会問題となり、労働時間の短縮や休息の確保、労働者の健康と生活を守ることが社会的な課題として扱われるようになります。労働条件の改善を求める運動や、40時間労働制、有給休暇といった制度も、仕事による過度な負担を抑えるための取り組みでした。
つまり、ワーク・ライフ・バランスという言葉が広く使われる以前から、「仕事が生活を圧迫しすぎていないか」という問題意識は存在していたのです。
その後、1990年代から2000年代にかけて、ワーク・ライフ・バランスは企業にとっても重要なテーマになっていきます。従業員の健康が生産性にも関わるという認識が広がり、ウェルネス施策や柔軟な働き方、リモートワーク、ジョブシェアリングなどが導入されるようになりました。

さらに2010年代には、スマートフォンやメールの普及によって、仕事と私生活の境界が曖昧になります。そして、コロナ禍をきっかけにリモートワークやハイブリッドワークが一気に広がり、ワーク・ライフ・バランスはメンタルヘルス、ウェルビーイングといったテーマとも強く結びつくようになっています。
日本でも、ワーク・ライフ・バランスは「仕事と生活の調和」として政策的に位置づけられています。2007年には「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定され、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進、仕事と家庭の両立支援などが重要な取り組みとして示されました。
このように、ワーク・ライフ・バランスという考え方は、長時間労働から人々の健康や生活を守る取り組みを出発点として、仕事と家庭の両立、柔軟な働き方、さらにはウェルビーイングへと、その射程を広げてきました。
こうした社会的な問題意識と並行して、学術的な研究も過去数十年にわたり発展してきました。その重要な転換点の一つとして挙げられるのが、1977年に組織学者のロザベス・モス・カンター先生が指摘した「別々の世界という神話(the myth of separate worlds)」という概念です。それまで、仕事とプライベートは完全に独立した別々の領域だと考えられがちでした。カンター先生は仕事と仕事以外の生活は切り離されたものではなく、互いに影響し合うものだと論じました。
この視点は、後のワーク・ライフ研究に大きな影響を与えます。仕事と仕事以外の生活が地続きのものであるならば、一方で生じた負担や経験は、もう一方にも持ち込まれます。それは両立を難しくすることもあれば、反対に良い影響を与えることもあります。当初の研究では、そのうち主に、仕事と家庭の間で生じる対立に関心が向けられていきました。
1980年代に入ると、研究者たちは仕事と家庭の役割が両立できなくなる「ワーク・ファミリー・コンフリクト(仕事と家庭の対立)」の要因を本格的に調査し始めました 。この時期の研究では、「仕事以外の時間」は、多くの場合「家庭」と結びつけて考えられていました。仕事と育児、仕事と家事、仕事と介護をどう両立するか。これは現在でも重要な論点です。
一方で、近年は “work-family” から “work-life” へと、言葉の射程が広がっています (Hammer & Demsky, 2014)。プライベートの時間は、家庭や育児だけではありません。趣味、学び、地域での活動、友人との関係、一人で過ごす時間も含まれます。ある人にとっては、家族との時間が中心かもしれません。別の人にとっては、学び直しや地域活動、あるいは自分自身の健康を守ることが重要かもしれません。
そう考えると、ワーク・ライフ・バランスは「仕事と家庭をどう両立するか」だけでは捉えきれません。仕事と、仕事以外のさまざまな生活領域との関係をどう考えるか。そのように射程を広げてきたところに、この言葉の変化があります。
ここで、もう一つ考えておきたいのが、「バランス」という言葉です。
”work-life”であっても、”work-family”であっても、そのあとに続く「バランス」。バランスというと、仕事とプライベートが天秤の左右に置かれ、その釣り合いを取るような印象を受けます。
それに、仕事とプライベートが対立的に描かれているような印象もあります。仕事の時間を増やせば、プライベートの時間が減る。プライベートを優先すれば、仕事が犠牲になる。そのような「仕事 vs. プライベート」の構図があるように思います。
もちろん、時間は有限です。長時間労働が続けば、睡眠や健康、家庭での時間に影響が出ます。その意味で、仕事と生活のバランスを考えることは重要です。
しかし実際の生活は、仕事とプライベートをいつも都合よく均等に分けられるわけではありません。そもそも、何をもって「分ける」と言えるのでしょうか。時間でしょうか。労力でしょうか。満足度でしょうか。
たとえば、仕事で得た経験が家庭や地域での関わりに生きることがあります。逆に、育児や介護、趣味や学びの中で得た視点が、仕事の進め方に影響することもあります。
カンター先生が指摘したように、仕事と生活は、完全に別々の世界として切り離せるものではありません。互いに入り込み、影響し合っています。そう考えると、「バランス」という言葉では、現代の働き方や暮らし方を十分に表しきれない場面もあります。
ワーク・ライフ・バランスという言葉を耳にしたとき、私はいつも思い出す言葉があります。それは、「ワーク・ライフ・バランスは一日や一週間単位ではなく、人生全体で考えるものではないか」、という前職の上司の言葉です。
一日単位で、仕事もプライベートも同じように充実させることは、簡単ではありません。むしろ、人生には、プライベートよりも仕事を優先し、深く没頭する時期があります。新しい役割を任されたとき、事業の立ち上げに関わるとき、資格取得や研究に取り組むときなど、一定期間、仕事や学びに多くの時間とエネルギーを注ぐことは自然に起こります。
一方で、育児や介護、療養、家族との時間を何よりも優先すべき時期もあります。つまり、仕事とプライベートは、いつも同じ比率で保たれるものではありません。人生の局面によって、重心は変わっていきます。
実際、その上司は、税理士になるという目標のために仕事を辞め、受験勉強に専念しました。そして、わずか2年で税理士試験の全科目に合格しました。「受験勉強中は、家事も何もかも主人に丸投げしちゃった」と、笑顔でおっしゃっていたことが印象に残っています。
上司は、仕事、勉強、家庭生活のすべてを、同じ時期に一人で成り立たせようとしたのではありません。目標に合わせて仕事を辞め、夫婦で家事の担い方を変え、生活全体を組み立てていました。その時期の勉強は後の仕事につながり、家庭での支えが、そのための時間をつくっていたのです。仕事、学び、家庭は、別々に存在していたのではなく、人生の中で互いに関係し合っていました。

このように考えると、仕事とプライベートを分けたうえで時間の釣り合いを取るだけでは、私たちの生活を十分に捉えられないことが分かります。仕事と生活を人生の中でどのように組み合わせ、互いに生かしていくのか。そこで注目されるのが、「ワーク・ライフ・インテグレーション」という考え方です。
ワーク・ライフ・バランスが、仕事と生活をある程度分けたうえで、その両立や調和を考える言葉だとすれば、ワーク・ライフ・インテグレーションは、仕事と生活を完全に切り離すのではなく、人生全体の中でどう重ね合わせていくかを考える言葉です。これは、「いつでも働く」という意味ではありません。仕事と生活が互いに影響し合うことを前提に、自分や組織にとって無理のない形を探っていく考え方です。
仕事に集中する時期もある。プライベートに重心を置く時期もある。学び直しや休息が必要な時期もある。そして、それぞれの経験は、必ずしも独立しているわけではありません。仕事で得たものが生活を豊かにし、家庭や学びの中で得たものが仕事に生かされることもあります。人生の局面に応じて重心を変えながら、仕事と生活をどのように組み合わせ、互いに生かしていくかを考えること。ワーク・ライフ・インテグレーションは、そうした現代的な働き方を考えるうえで、一つの重要な視点になるのではないでしょうか。
ワーク・ライフ・バランスも、ワーク・ライフ・インテグレーションも、単に「早く帰ろう」「柔軟に働こう」という掛け声だけでは実現しません。大切なのは、まず仕事の実態を見えるようにすることです。
誰が、どの業務に、どれだけの時間を使っているのか。
特定の人に業務が集中していないか。
本来注力すべき仕事に時間を使えているのか。
成長につながる業務経験が、組織の中で偏っていないか。
こうしたことが見えないままでは、働き方を見直すことはできません。ワーク・ライフ・バランスを「仕事とプライベートの時間配分」として考えるにしても、ワーク・ライフ・インテグレーションを「仕事とプライベートの重なり」として考えるにしても、出発点になるのは、自分たちの仕事を正しく知ることです。
オフィスドックは、日々のタスクや業務時間を記録し、仕事の進め方を可視化することで、個人と組織の働き方を見直すきっかけをつくります。
働き方を変えるために、まず仕事を見えるようにする。
そこから、仕事とプライベートのよりよい関係を考えることができるのではないでしょうか。
オフィスドックは、圧倒的な『見える化』で
業務とコストを正確に把握
誰が、何に、どれだけの時間を使っているのか。感覚的だった業務実態をデータで可視化。ムリ・ムダ・ムラをなくし、生産性の高いチームを創ります。

・Hammer, L. B., & Demsky, C. A. (2014). Introduction to work–life balance. Workplace Well‐being: How to Build Psychologically Healthy Workplaces, 95-116.
・Kanter, R. M. (1977). Work and family in the United States: A critical review and agenda for research and policy. Russell Sage Foundation.
・Raquel Gomes, “Work-Life Balance: Did It Always Exist?”, Forbes Business Council, April 8, 2025, 2026年7月28日閲覧。https://www.forbes.com/councils/forbesbusinesscouncil/2025/04/08/work-life-balance-did-it-always-exist/
・日本経済新聞「高市首相「睡眠0〜3時間」、Xに投稿 多忙ぶりアピールに賛否」2026年7月21日公開、2026年7月28日閲覧。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA21A610R20C26A7000000/
やるべきことが増える一方で、ビジネスパーソンにとって使える時間は限られています。ToDoを増やすほど何から手を付けるべきかが曖昧になり、結果的に忙しいのに成果が出にくい状態に陥りがちです。 そこで役立つのが、タスクを緊急 […]
OFFICEDOCKを導入して約1ヶ月。「利益管理」や「人件費の見える化」を期待して入れたものの、最初の1ヶ月で経営者が一番手応えを感じたのは、実は別のところだった——。「2か月分のデータが溜まったからいよいよ分析が楽し […]
「物価も人件費も上がる一方で、利益がどんどん削られている……」 「これ以上のコストカットは現場が疲弊するだけで、もう限界だ」 いま、多くの経営者がこのような危機に直面しています。物価高騰に伴う賃上げは避けて通れず、これま […]
