「売上は伸びているのに、なぜか利益が残らない。」

「高単価のスポット案件をこなしているはずなのに、決算書を見るといつもギリギリ。」

こうしたモヤモヤを抱えている税理士事務所・会計事務所・法律事務所・司法書士事務所は少なくありません。

多くの場合、その原因は売上ではなく「見えない人件費」にあります。
そして、その見えない人件費を放置したままの「感覚経営」こそが、士業の経営を静かに蝕んでいます。

本記事では、

・士業特有の「原価が見えない構造」
・士業 工数管理 × 人件費の見える化 × 原価配賦 × 粗利分
・そして、単なる「管理」ではなくスキルマップと遊びゴコロによる自律的な成長支援

を軸に、オフィスドックが提案する「分析力×遊びゴコロ」による新しい経営の型をお伝えします。

士業の「見えない時間」が、なぜ経営を圧迫するのか？

「忙しいのに、利益が残らない」違和感の正体

たとえばこんな会話に心当たりはありませんか。

「A社の月次顧問、かなり手がかかっているよね」
「そうですね……。でも顧問料は3万円なので、あまり追加請求もしにくくて」

スタッフの工数感覚でいうと「毎月かなり時間をかけている案件」。
しかし、試算表上は人件費が販管費として“一括計上”されているだけなので、

• クライアントAに何時間かかっているのか
  
• その時間に対する人件費はいくらなのか
  
• その結果、その案件の粗利はいくらなのか
  

が、数字としては見えてきません。

つまり、「本当は赤字の顧問先」を、「なんとなく忙しいけど、まあ売上は立っているから大丈夫」と認識してしまう構造があるのです。

これは、士業 工数管理の仕組みがないことによる典型的な落とし穴です。

製造業とはまったく違う、士業の「原価が見えない」構造

製造業であれば、

• 材料費
  
• 製造ラインごとの労務費
  
• 間接費
  

などを組み合わせて製品別原価を算出します。

一方、士業・コンサル・制作・教育・開発などの知的サービス業ではどうでしょうか。多くの企業・事務所では人件費を「販管費」として一括処理しているのが実態です。

理由はシンプルです。

業務がライン化されておらず、「誰が・どのサービスに・何時間かけたか」を把握する仕組みがない

そのため、

「給与総額としてはいくら払っているか」は分かるが、
「この顧問料・この案件の原価の中身に、人件費がどれだけ乗っているか」は分からない

という状況に陥ります。結果として、人件費の見える化ができず、正確な原価配賦や粗利分析が行えないまま、価格設定や投資判断をしてしまっているケースがほとんどです。

専門家ほど危ない？「時間感覚」の思い込み

さらに厄介なのは、士業は専門性の高い知的労働であり、かつ中断が多いという点です。

• クライアントからの電話・メール
  
• チャットでの質問対応
  
• 会議や打ち合わせ
  
• 並行する複数案件
  

こうした環境では、「今日はA社に3時間くらいかな」という感覚と、実際の稼働時間に大きなギャップが生まれます。

研究レベルでも、マルチタスクやタスクスイッチング（作業の切り替え）が生産性を最大40％低下させることが示されています。
参考：マルチタスクとは何か？効率的な仕事術と集中力アップのポイント｜Asana

つまり、本人は「ずっとA社のことを考えていた」つもりでも、実際にはメール返信や別案件の確認にかなり時間を奪われている。

にも関わらず、記憶ベースで時間を申告すると「実際より短く」申告してしまう傾向があるのです。士業のような高単価・高難度の思考労働ほど、「記憶」ではなく「記録」に頼る必要がある理由がここにあります。

時間単価1万円の世界では、誤差30分が“数百万円”に化ける

高単価の士業だからこそ、わずかな工数誤差が経営に大きく響きます。

たとえば、次のような事務所を考えてみましょう。

• スタッフ 5名（平均時間単価：1万円）
  
• 1人あたり、1日わずか15分だけ工数を過少申告している（実際より短くメモしてしまう）
  
• 月20営業日
  

計算してみると：

• 1人1日あたりの“見落とし工数”
  → 0.25時間 × 1万円 ＝ 2,500円
  
• 1人1か月あたり
  → 2,500円 × 20日 ＝ 5万円
  
• 5人では
  → 5万円 × 5人 ＝ 25万円／月
  
• 1年間では
  → 25万円 × 12か月 ＝ 300万円／年
  

わずか15分／日 × 5人で、年間300万円の「見えない原価誤差」が生じている計算です。

しかもこれは、

・誤差がどのクライアント／サービスに乗っているか

・どの案件が赤字で、どの案件が高収益なのか

が分からないまま積み上がっていきます。「なんとなく忙しい」ままの感覚経営は、
高単価の士業ではそれだけ危険度が高いと言えるでしょう。

【解決策①】人件費を「原価」として配賦し、真の粗利構造を可視化する

士業 工数管理の目的は「誰が・何を・何時間やったか」を原価に変えること

感覚経営から抜け出すための第一歩は、
「誰が・どの業務に・何時間かけたか」を正確に記録し、人件費を原価として配賦することです。

オフィスドックでは、

1. タスクカードを作り
   
2. 1日のスケジュールに登録し
   
3. 実行時にワンクリックで時間を計測
   

することで、日々のタスク実績を自動で蓄積していきます。

これにより、

• 社員の稼働時間
  
• クライアント別・サービス別の工数
  
• 事業別の時間配分
  

が、後からExcelで集計することなく自動で「工数データ」として溜まっていきます。ここまで来てはじめて、人件費の見える化 → 原価配賦 → 粗利分析という“経営に効く分析のライン”を引くことができます。

3階層分類 × タグで「業務構造」を立体的に捉える

オフィスドックの業務集計・分析機能では、タスクを次の3階層で分類できます。

• 大分類：顧問業務／申告業務／スポット相談 など
  
• 中分類：月次顧問／年次決算／相続申告／契約書レビュー など
  
• 小分類：仕訳入力／試算表チェック／申告書作成／契約ドラフト など
  

これにより、

「事務所の時間は、どの業務カテゴリーにどれくらい投下されているのか」

を構造的に把握できます。

さらに、ここにタグ機能を組み合わせることで、
カテゴリとは独立した「横軸」の分析が可能になります。

タグの例：

• クライアント別
  A社 / B社 / C社…
  
• プロジェクト別
  事業承継PJ / 組織再編2025 / M&A案件X
  
• 事業セグメント別
  医療業界 / 不動産 / スタートアッププラン など
  

これにより、

• 「A社にかけている総時間」と「顧問料」のバランス
  
• 「相続案件」だけを抜き出した工数と粗利
  
• 「スタートアップ向け顧問」の収益性
  

といった、多角的な原価管理・時間配分の分析が実現します。

既存の工数管理ツールでも時間の記録はできますが、
オフィスドックはあくまで「原価配賦と粗利分析までを見据えた構造設計」になっている点が大きな違いです。

原価配賦と粗利分析で「値上げか？撤退か？」を判断できる

オフィスドックの集計・分析ページでは、タスクに紐づいた時間データをもとに、
サービス別・商品別・クライアント別に人件費を原価として配賦できるようになっています。

たとえば、次のようなケースが一目で分かります。

• 「クライアントX」
  ・月50時間の対応
  ・顧問料：3万円
  → 明らかに赤字、値上げ交渉か範囲見直しが必要
  
• 「相続申告サービス」
  ・1件あたり平均40時間
  ・売価：20万円
  ・直接人件費（スタッフ単価1万円）：40万円
  → 売れば売るほど赤字のモデル
  
• 「スタートアップ顧問（オンライン中心）」
  ・月10時間で月額20万円
  → 時間単価2万円、最注力すべき高収益領域
  

このレベルで粗利分析ができると、経営判断の打ち手が変わります。

• 顧問料の値上げ交渉
  
• サービス設計の見直し（標準化・パッケージ化）
  
• 自動化やアウトソーシングの検討
  
• 採算の合わない領域からの撤退 or 改善投資
  

いずれも、これまでは「なんとなく忙しい」「たぶん儲かっていない気がする」といった“感覚”で語られがちでした。

オフィスドックのように人件費の見える化と原価配賦ができる基盤があれば、
「売上 − 原価 ＝ 粗利」の“リアル版”を見ながら、論理的に経営判断を下すことが可能になります。

【解決策②】「管理」から「育成」へ：スキルマップで描く自律的な成長パス

工数管理を「監視ツール」で終わらせない

士業の現場でよく聞く声に、

「工数を取ると、スタッフが“監視されている”と感じませんか？」

という懸念があります。

確かに、「どれだけ働いたか」だけを追いかけるツールは、
現場に息苦しさを生むリスクがあります。

オフィスドックが目指しているのは、
「管理」ではなく「成長支援」です。

• 日々のタスク実績を
  
• スキルマップと連動させ
  
• スタッフ本人が自分の成長を実感できる仕組み
  

にすることで、工数管理を“自分を磨くための鏡”に変えていくのが特徴です。

日々のタスクが、そのままスキルマップに反映される

オフィスドックのスキルマップ機能では、

• 各職種に必要なスキルを整理し
  
• 日々のタスク実行ログと自動連携させることで
  
• スキルの習熟度を「見える化」できます。
  

イメージとしては、

1. 「決算整理仕訳」「申告書レビュー」「顧客面談」などのタスクに
   対応するスキルを紐づける
   
2. タスクが実行されるたびに、
   対応するスキルの「回数・時間・期間」が自動で蓄積
   
3. 一定の条件を満たすと、
   スキルマップ上のレベルが上がる（あるいは“解放”される）
   

といった流れです。

ポイントは、「上司の主観」ではなく「実際にこなしたタスク」に基づきスキルが評価されること。

士業にとって重要な、

• 「誰が、どのレベルの業務を、自立して行えるのか」
  
• 「どこまで任せられるのか」
  
• 「どこからレビューが必要なのか」
  

を、客観的なデータで把握できるようになります。

事務所ごとに、たとえばレベル1〜6のような段階を定義しておけば、

• レベル1：仕訳入力・基本的な資料収集を指示付きで実施可能
  
• レベル3：決算整理仕訳をテンプレートに沿って自走
  
• レベル4：申告書草案を一人で組み上げられる
  
• レベル6：複雑案件の税務戦略を設計し、顧問先の経営者に提案できる
  

といった形で、キャリアパスが具体的に描けます。

評価・配置・育成を「スキルマップ」で一気通貫に

スキルマップがあることで、次のようなメリットが生まれます。

• 適材適所の人員配置
  「相続申告に強い人」「M&Aデューデリに強い人」が一目で分かる
  
• 公平な評価
  「どのスキルで何回・何時間の実務経験を積んでいるか」が可視化される
  
• 育成計画の明確化
  「次の昇格までに、レベル3のスキルを3つクリアしよう」といった目標設定が可能
  

これにより、工数管理は単なる「どれだけ働いたか」ではなく、
「どんな力をどれだけ伸ばしたか」に焦点が移ります。

「遊びゴコロ」とポイント設計で、成長をゲーム感覚に

オフィスドックのコンセプトは、「生産性と遊びゴコロを両立させた成長支援ツール」です。

• タスクの実行
  
• スキルアップ
  
• 組織への貢献
  

に応じて、ポイント（福利厚生ポイントなど）を付与する設計にすることで、

• 「決算整理を1件終えると○ポイント」
  
• 「スキルマップ上でレベルが上がるとボーナスポイント」
  
• 「チーム目標達成で全員にインセンティブ」
  

といったゲーム感覚のデザインが可能になります。

これにより、

工数入力＝評価のためにやらされる作業　から
工数入力＝自分の成長・ポイント獲得につながる“前向きな行為”

へと意味づけが変わります。

「誰かに管理される」ツールではなく、
「自分の道を描き、育てていくためのコンパス」として工数管理を位置づける。
この発想が、オフィスドックが他の工数管理ツールと最も異なる点です。

事務所の未来を変える：アステッキ自身の「困りごと」から生まれたストーリー

「人」と「タスク」が増えた瞬間、一気に見えなくなったもの

オフィスドックを開発したアステッキホールディングス自身、
かつては急激な事業拡大に伴う組織課題に直面していました。

事業が増える、人が増える、タスクが爆発的に増える

その結果、

• 誰が、どの案件に、どれだけ時間を使っているのか
  
• どの事業が本当に利益を生んでいるのか
  
• どのスタッフが、どの分野で強みを伸ばしているのか
  

が経営として把握しきれない状態に陥りました。

既存のタスク管理ツールや勤怠システムを試してみても、

• 経営の視点から見た正確な原価管理
  
• 現場の自律性を高める自走型組織づくり
  

の両方を満たすものがなかったことが、オフィスドック開発の原点です。

「感覚経営」から「数値に基づく戦略経営」へ

アステッキがたどり着いた結論はシンプルです。

労働生産性を上げ、最小の資源で最大の成果を出すには、
「感覚経営」から「数値に基づく戦略経営」への転換が不可欠である。

この視点から、オフィスドックの業務集計・分析機能は設計されています。

• タスク実績から時間を集計し
  
• 3階層分類とタグで構造化し
  
• サービス別・クライアント別に人件費を原価として配賦し
  
• 本当の粗利構造を見える化する
  

ことで、

• 「どの事業に投資するか」
  
• 「どの顧問契約を見直すか」
  
• 「どの業務を自動化・外注化するか」
  

といった戦略的アクションを打てるようにしています。

タスク管理をしないと、生産性は「3〜5割」簡単に失われる

タスク管理や工数管理をしない状態では、どれくらい生産性が落ちるのでしょうか。

いくつかの調査・研究を組み合わせると、次のような姿が見えてきます。

• マルチタスク／タスクスイッチングによる生産性低下
  → 作業効率が最大40％低下するという研究結果が多数報告されています。
  参考：マルチタスクとは何か？効率的な仕事術と集中力アップのポイント｜Asana
  
• 時間管理システムを持たない人の多さ
  → ある統計では、82％の人が正式な時間管理システムを持っておらず、
  平均で51％の労働時間を「低付加価値タスク」に費やしていると報告されています。
  参考：Time Management Statistics Businesses Should Use for Efficiency Gains｜Habstaff
  

これらを踏まえると、

タスク管理・工数管理の仕組みを持たない組織では、
本来生み出せる価値の「3〜5割」が失われていてもおかしくない

と言えます。

士業のように時間単価が1万円を超える世界では、

生産性の3〜5割が失われる
＝ 毎年数百万円〜数千万円単位の利益機会を逃している可能性
を意味します。

アステッキは自社の経験から、
こうした“もったいない時間の損失”を一つひとつ潰していくために、
オフィスドックの仕組みを磨き続けてきました。

まとめ：今、貴事務所の「経営判断の精度」を上げるとき

ここまで見てきたように、士業の経営を圧迫しているのは、

• 見えない人件費
  
• 感覚に頼った工数管理
  
• 粗利構造が分からないままの価格・投資判断
  
• 「管理」に偏った仕組みによる現場のモチベーション低下
  

といった要因が複雑に絡み合っていることです。

オフィスドックは、これらを一気通貫で解決するために、

1. 人件費の見える化・原価配賦・粗利分析
   3階層分類×タグ×自動集計で、
   「売上 − 原価 ＝ 粗利」のリアル版を可視化
   
2. スキルマップによる自律的な成長支援
   タスク実績とスキルを自動連携し、
   「誰がどのレベルの業務を自立してできるか」を見える化
   
3. ポイント機能や遊びゴコロあるUI
   日々の工数入力を“やらされ感”ではなく、
   自分の成長や福利厚生につながるポジティブな体験へ
   

という「分析力 × 遊びゴコロ」の設計を採用しています。

その結果、

• 本当の粗利構造が見える化される
  
• 従業員がセルフマネジメントできる充足感を持ちつつ、自律的に成長する
  
• 経営者は「感覚経営」ではなく「数値に基づく戦略経営」を行える
  

という、自走型組織への土台をつくることができます。

「経営判断の精度とスピード」は、“人の時間”をどう捉えるかで決まる。

もし、いまの事務所運営に少しでも違和感や限界を感じているなら、
「人の時間」を見直すところから、次の一歩を踏み出すタイミングかもしれません。